『 享保貢象始末 』(堀 和久 :文春文庫)

画像 徳川吉宗の時代、享保14年(1729)、唐の商人・鄭大威が吉宗将軍への献上物として、ベトナムから牡牝二頭の象を長崎に運び、そのうち牡の白象一頭が四十数日かけて京に到着、更に東海道を進み江戸にその姿を現した。
この一大イベントにおける大騒動を材料に、日本人象使い・源助を主人公に江戸庶民の暮らしの哀歓をユーモラスに描いた短編。
昭和52年、第51回オール読物新人賞を授賞した作品である。

以下、物語のあらすじ。

 多摩郡中野村の乱暴者だった源助は名主の娘・お千代に憧れていたが、からかわれて村を出奔する。
それから2年後の享保14年初夏、大江戸市中に大象の噂が持ち上がる。そんな中、お千代宛てに象使いになったという源助からの手紙が届く。
「象を持ってきたらお嫁になってあげる」とからかったお千代は、若い娘らしい吃驚するやら、気恥ずかしいやらの気持ちになる。
その後、とうとう江戸入りした白象一行は、将軍の謁見を済ませて浜御殿で飼われることになる。
象使いの源助は、ただひとり白象と気持ちが通じあうようになっていて、白象の飼育に欠かせない存在になっている。
浜御殿で半年余り過ごした白象は、翌享保15年春、白象の大食いを持て余した将軍家から、突然源助の故郷・中野村に払い下げられることになる。
中野村では、白象の飼育代を捻出する策として、源助が白象に芸をさせることを提案するが、これが大評判となる。
ところがある日、急に白象の様子が変になり、源助の言うことも聞かなくなる。
年頃になった象が発情期をむかえて気持ちのコントロールを失ったことが原因らしいと判明するが、手立てはなくとうとう衰弱死する。時を同じくして、寝る間も惜しんで看病を続けてきた源助も亡くなってしまう。



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文藝春秋
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